歯科 インプラントの新サービス開始
歯科のイメージはどのようなものでしょうか?独特の臭いや音に歯科が苦手という方もいらっしゃるかもしれません。歯科も昔と変わった部分があります。
「医学に素人である患者にどれほど言葉を尽くして説明しても、バランスのとれた過不足のない理解を期待することは不可能だから、完全な情報公開ということは医療の場では幻想にすぎない」という人もいます。
説明を果して正しく理解していたかどうかを調査した報告が数多くありますが、たとえばアメリカで行われたある利尿剤と強心剤の無作為化試験の場合、詳しく説明した二時間後に理解度を試験したところ、正解二八%、三ヵ月後では四%にすぎなかったといいます。
また、真実を告げて理解させるということは大変な時間をくう仕事で、忙しい医者の手にあまるとする立場もありましょう。
さらに、医療の場で無視することのできないニセ薬効果を台無しにし、治療の効率を下げるから真実を教えない、という医者もいます。
日本の医者の場合、その九〇%は患者に説明することには限度があると考えており、その理由としては、説明しても患者が理解できない(八〇%)、「癌などの時は治療上の悪影響がある」八〇%は告知していないようです。
けれども、今日の患者’医者関係の原則から考えますと、多かれ少なきであると私には思われます。
今日の情報化時代では、事実を隠すことは実際上難しくなったこと、終局的な価値判断を医者だけが引き受けることに無理があり、現実に尊厳死や末期医療辞退などの動きがすでに存在すること、結局、重大な意思決定の責任は患者と医者との間で分かち合わざるをえないこと、などがその主な理由です。
実際、今日のような情報化社会になると、患者を欺くことによってこれを巧みに操作することは現実に困難になりつつあります。
昔は、医者自身が癌になった時はごまかすのが大変困難でしたが、今日では一般市民の場合でも「手術したら幸い、胃潰瘍でしたよ」と医者からいわれても、胃癌であったことを隠しているのではないかと疑うようになりました。
日本では処方痩は患者の目にふれませんから、癌の薬かどうか調べる手がかりは今のところ少ないのですが、医薬分業が現実になったら、そうはいかないでしょう。
数年前からアメリカでは、特定の薬についてはその箱の中に医者向けの添附文書のほかに患者への注意書を添えることを行政的に義務づけようとする動きがあります。
今のところそこまでに至っていませんが、アメリカ医師会が重要な薬について、その働き・効果・副作用・使い方などを患者自身に正しく理解させるためのカドを作っていますし、一般の薬についても、患者に与えるとき口頭で詳しく説明することが医療機関の責任となりました。
中身が分からなくても医者を信用して飲めばいい、あるいは分からない方がカリスマ性が大きくていい、などという言い分は、もはや通用しなくなったのです。
高価な薬ほど患者がありがたがる、という斎藤茂吉の時代ではないのです。
薬は飲まなくては効きませんが、薬を飲むのは医者でなく患者です。
ことに慢性病の場合は長期にわたりますから、患者自身が薬の性質をよく理解して正しい服用を励行しなければ医療効果を期待できないし、重大な副作用を避けるわけにはいかないのです。
このようなわけで、成人関係としての医療を成り立たせるためには、情報なくてはならないように思います。
そして医療における人間関係の原則は二つあっていいわけのものではありませんから、情報公開はカゼ引きから癌まで一貫していなくてはならないと考えます。
しかし同時にカゼ引きと癌とを同じレベルでは扱わないという配慮が当然必要ですし、人を見て法を説かなくてはならないことも確かです。
それにしても、カゼ引きだから告知するが癌の場合は告知すべきでない、という論理はもはや成り立ちがたくなっていることを容認しなくてはならないでしょう。
むしろ真剣に告知の問題を考えなくてはならないのは、カゼ引きのような日常的な病気の場合でなく、人間としての存在が危機に陥った場合なのです。
死に至る病気であることを知りたくないと考えている人に無理に告知すべきではないでしょうが、少なくとも今日では癌などの告知についての受け取り方が患者の間で著しく多様化している現実を認めてかからなくてはならないように思われるのです。
死ぬのは医者ではなく患者なのですから、患者の死の受容をどうすれば援助できるかを真剣に考えなくてはならないし、そのために告知を原則としながら「いつ」「どのように」告知すべきかについては十分慎重でなくてはならない、ということになると思います。
スイス生まれのシカゴの女性精神科医キュプラロスが死にゆく患者に対し、われ跡づけていますが、少なくとも患者の死、あるいは死につつある患者に積極的にかかわろうとする姿勢は、われわれも見習っていいことでしょう。
浅草の喜劇俳優高屋朗さんが癌で助からないと分かった時、友たちが枕もとで「いま死ねば貯金が残って奥さんが暮しに困らないですむのだから、早く死ね、早く死ね」とはやし立てて暗示をかげたら早く死んだので、奥さんが小料理屋を開いて生活することができたといいます味の厳しさを見抜かなくてはなりませんが、要するに人間の死に方は様なのですから、医療者もそれに個別的に対応しなくてはならないはずです。
して、「不治の癌にかかっている患者に真実を洗いざらい教えてしまってはいけない。
「死ぬかも知れない。
多分死ぬであろう」というところまではいってもいいが「必ず死ぬ」といってはいけない」といっています。
確かにデリケートな問題ですが、とにかく医療者にとっては「死の告知」問題は避けて通れない課題であり、死への過程を患者とともにどのように歩むべきかを真剣に考えなくてはならない時代になっていることは間違いないでしょう。
「真実の告知」と「最後まで治療を放棄しない」というこの二つの臨床の原則をどのように両立させるかが、確かに今日の医療・医学の大変重要なテーマです。
それにしても、私は医療者が考えなくてはならないのは、この場合の治療の中身ではないかと思うのです。
末期患者のための「ホスピス」の一つとして有名なイギリスのセントジョセフ病院の医者ラマトンが、日本の癌専門病院の看護婦長から、末期癌の患者に中心静脈栄養などを含む強力な治療をつづけているという話を聞いて「それはできるだけ患者を太らせて死なせようということですか」と皮肉な質問をしています。
中心静脈栄養という栄養補給の方法がいいか悪いかの問題ではなく、まるで病気を治そうとするのと同じ考え方、やり方で「死を治そう」とするかのような姿勢を批判したのでしょう。
死ぬこともある意味では病気の一つの過程であり、最も重要な過程ではありますが、ここでは注射や点滴などの、病気そのものに対する日常的な治療技術はもはや積極的な意味を失ってしまい、「治す人」としての医者や看護婦などの医療者の役割が多かれ少なかれ変質してしまっていることに気づいていないことが問題なのです。
このような段階に立ち至っても、治る段階の病気の場合と同じく強力な治療を、困ったことにあふれるような善意をもって最後までつづけ、それが死にゆく患者に対する最も重要で最も親切なかかわり方であることを確信して疑わないような姿勢が問題なのです。
今までの医療者は、死を単に敵としてしか見ませんでしたから、ひたすらこれでした。
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